PCGS社コラム:ナイチンゲールのコイン
『Women on Money: Florence Nightingale』
https://www.pcgs.com/news/women-on-money-florence-nightingale
『コインに描かれた女性たち:フローレンス・ナイチンゲール』
「私の成功の理由はこれです——言い訳をしなかったし、受け入れもしなかった。」
〜 フローレンス・ナイチンゲール
2004年、チャネル諸島のオルダニーは「ランプの貴婦人」、近代看護の創始者フローレンス・ナイチンゲールを記念する5ポンド硬貨を発行した。
ナイチンゲールは、患者一人ひとりに寄り添った看護と、医療従事者による衛生管理の重要性を訴え続けたことで知られる。生涯をかけて患者ケアの向上に尽力した強いリーダーだった。
1820年、イタリアのフィレンツェで裕福な英国人家庭に生まれ、幼少期の大半をイギリスの邸宅で過ごした。父親は姉と共に家庭教育を行い、女性に限られた科目ではなく幅広い教育を施した。しかし、家庭外では当時の性別役割観に従い、結婚と家庭を持つことを勧めた。彼女はそれを拒み、より高い使命を志した。
ナイチンゲールは神からの召命を受け、人々に奉仕する看護師になるべきだと信じた。彼女は「病気の貴婦人のための療養所」の管理者となり、全階にお湯を設置し、患者に温かい食事を届ける仕組みを整えるなど、ケアの質を向上させた。
1854年のクリミア戦争では、野戦病院の劣悪な環境が報告され、彼女はオスマン帝国に赴く看護師団の編成を依頼された。政府に働きかけて組み立て式の野戦病院を設置し、手洗いなどの衛生習慣を徹底、栄養価の高い食事の提供、個別ケアを実施。これにより死亡率は40%から2%へ劇的に低下した。
帰国後、ビクトリア女王を説得して英国陸軍の衛生改善を目的とする王立委員会を設立。さらに陸軍医学校を設立し、『看護覚え書(Notes on Nursing: What it is, and What it is Not)』を出版、ナイチンゲール看護学校を開き、より良い患者ケアと衛生的な病院運営を広めた。こうして彼女は近代看護の創始者とされる。
2004年、クリミア戦争150周年を記念してオルダニーが発行した5ポンド硬貨は、ナイチンゲールの功績を称えたシリーズ第1弾。裏面には彼女の肖像と光の輪、「Lady with the Lamp(ランプの貴婦人)」の文字が刻まれている。この愛称は、真夜中でもランプを手に病床を一人ひとり見回った姿から兵士たちによって付けられたものである。