PCGS社コラム 英国「LIMA」コイン:海軍の勝利と捕獲スペイン財宝
『British “LIMA” Coins: Naval Triumphs and Captured Spanish Treasure』
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『英国「LIMA」コイン:海軍の勝利と捕獲スペイン財宝』
18世紀半ばの英国コインには、時折「奇妙な刻印」が見られます。その一例が、1745年~1746年に発行された 「LIMA」刻印の英国コイン です。
当時、Lima(リマ)はスペイン領ペルーの首都であり、スペインの支配下にありました。またこの時期、イギリスのジョージ2世とスペインのフェリペ5世は ジェンキンスの耳戦争(1739–1748) に関わっていました。イギリスは戦争資金となるスペイン植民地の金銀流出を食い止める必要がありました。
〇ジョージ・アンソンの太平洋遠征
1740年、英国海軍は ジョージ・アンソン准将 に太平洋でのスペイン拠点襲撃と貿易妨害の任務を与えました。アンソンはHMS Centurionを旗艦とし、多くの戦艦とともにイギリスを出航。
3年間にわたり困難な航海を続け、乗組員の1,854名中1,354名を失う大損害を出しつつも、1743年6月30日、フィリピン海サマール島沖で スペインの商船「Covadonga号」 を発見。90分にわたる激戦の末、英国側の勝利となりました。スペイン側は67名死亡、84名負傷、英国側は3名死亡、17名負傷でした。
〇捕獲された財宝
Covadonga号には、1,313,843枚のピース・オブ・エイト銀貨、35,682オンスの銀塊、金貨やその他の貴重品 が積まれていました。1744年6月15日、アンソンは英雄としてイギリスに帰還。財宝は32台の荷車でロンドン市内を凱旋行進しました。
〇「LIMA」刻印の誕生
この勝利を記念して、1745–1746年発行の銀貨・金貨(6ペンス、シリング、ハーフクラウン、クラウン、金ギニー) にジョージ2世の肖像下に「LIMA」と刻印されました。
当時イギリスは、捕獲財宝の出所がリマ造幣所であると誤認したため「LIMA」としたと考えられます。しかし実際には、ポトシ造幣所の銀貨も混ざっており、鋳造不良で造幣所印が確認できない場合も多く、リマの首都として代表的な名称を使用したのでしょう。
〇フランス船団の財宝
1745年7月、英国の私掠船が北大西洋で3隻のフランス船を捕獲。これらには合計約 4,000,000枚のピース・オブ・エイト、銀・金塊 が積まれていました。ロンドンでの凱旋行列は45台の荷車に及び、アンソンの捕獲を上回る規模でした。
こうして生まれた「LIMA」刻印のコインは、単なる通貨ではなく、歴史の記念碑であり、イギリスの海軍勝利と征服の証 として位置付けられます。