PCGS社コラム 長寿銀両(Longevity Silver Tael)の神秘
『The Mystique of the Longevity Silver Tael』
https://www.pcgs.com/news/the-mystique-of-the-longevity-silver-teal
『長寿銀両(Longevity Silver Tael)の神秘』
この「長寿銀両(Longevity Tael)」は、中国貨幣学において最も謎めいていて魅力的なコインのひとつです。
特に重要なのは、このコインが清朝時代に製造された唯一の機械打ち記念貨幣(machine-struck commemorative coin)であるという点です。この事実だけでも、中国近代貨幣の中で最重要級の希少貨とされる理由になります。
この特別なコインの起源は今なお謎に包まれており、1939年以前の中国文献にはその存在に関する記録が確認されていません。
〇なぜ鋳造されたのか?
研究者たちの間では、その製造目的について長年議論が続いています。
ある説では、1894年、西太后(慈禧太后)の60歳の誕生日を記念して作られたとされます。
一方で、著名研究者E. Kannが支持した有力説では、1904年、西太后の70歳の誕生日を祝うために製造されたと考えられています。
さらに別の説も存在しており、その不確実性こそがこの試作貨(Pattern Coin)の神秘性を高めています。
〇現存数はわずか
今回紹介されている標本は、2013年7月、上海で開催された初回のPCGS鑑定イベントで認証されたものです。
現在、長寿銀両の現存数はわずか10〜12枚程度と考えられており、そのうち確認されているのはたった7枚しかありません。
しかも、その大半は著名な博物館や機関コレクションに所蔵されているため、個人コレクターが入手できる機会は極めて少ないとされています。
また、細かな違いによる2種類のバリエーションが存在し、今回の個体はその中でもより希少なタイプに属します。
〇極めて優れた来歴(Pedigree)
この個体の価値をさらに高めているのが、その輝かしい来歴です。
これまでに、
E. Kann
Eli Wallit
Chang Foundation
Chen Gi Mao
CC Collection
といった、中国貨幣界でも特に著名なコレクションを渡ってきました。
こうした「由緒ある所有歴」は、高級コイン市場では非常に大きな価値を持ちます。
〇オークション出品
このコインは2026年5月10日、上海で開催されるHosane's Auctionに出品予定です。
このような希少性・歴史性・芸術性を兼ね備えたコインが市場に出る機会は、ほとんどありません。