NEWS

NGC社コラム 希少コイン価格はなぜ上がっているのか

『Jeff Garrett: Ten Reasons Coin Prices are Going Up』
https://www.ngccoin.com/news/article/15247/

『希少コイン価格はなぜ上がっているのか』

希少コインの価格は、一夜にして急騰したわけではない。長期的な価格上昇には、いくつもの要因がある。

私は『Guide Book of United States Coins(通称 Red Book)』の上級編集者であり、Mid-American Rare Coin Galleries のオーナーでもある。希少コインの価格決定は非常に難しく、同じグレード・同じスラブでも、オークション価格は大きく異なることがある。

近年、私は「今後も希少コイン価格は上昇する」と強く感じている。その理由を挙げたい。

1. ライブ配信オークションの拡大
現在最大の変化は、ライブ配信型オークションの普及である。

Whatnot や eBay Live、TikTok Live Auctions などでは、リアルタイム配信で大量のコインが売買されている。参入障壁が低く、スマホ1台で始められる。

人気セラーは毎月数百万ドル規模を販売しているが、最大の問題は「売るための在庫不足」である。彼らは大量のコインを市場から吸い上げている。

2. “ガチャ化(Gamification)”
Vault Box などが始めた「ミステリーボックス」が人気化している。

スポーツカードの“ブレイク”文化のように、購入者は高額コインが当たる可能性を楽しむ。

このため、業者はボックス用コインを大量確保する必要があり、Greysheet Bid を超える価格で買い集めている。

3. 金銀価格の高騰
近年、金銀価格は大きく上昇した。

銀価格は倍以上となり、1オンス70〜85ドル帯で安定しつつある。

その結果、以前はプレミアがあったコインの一部が溶解され始めている。特に古い銀貨やダブルイーグル金貨など。

もし貴金属価格が高止まりすれば、現在割安なコインは今後値上がりする可能性が高い。

4. 富裕層・億万長者の参入
アメリカには約1,000人のビリオネアが存在し、その一部は希少コイン収集家である。

彼らは「トロフィーコイン(超名品)」を求めており、数百万ドル級の落札も珍しくなくなった。

また、一般富裕層も「持ち運べる資産」としてコインに注目している。

5. ディーラー在庫不足
多くのディーラーが「過去最低レベルの在庫」と語っている。

在庫がなければ商売にならないため、以前より高値で買い戻さざるを得ない状況が起きている。

6. 長年割安だったシリーズ
クラシック記念貨(1892〜1954)やタイプコインなど、一部シリーズは何十年も価格停滞していた。

しかし近年の需要増加により、これらは再評価される可能性が高い。

7. 新しい魅力的なコイン
アメリカ建国250周年(Semiquincentennial)記念で、新しいコインが多数発行されている。

特に「Emerging Liberty Dime」は好評で、新規コレクター流入が期待される。

8. US Mint の新体制
新ミント長官 Paul Hollis は熱心なコレクターであり、趣味界への理解が深い。

1804ドルや1907ハイレリーフのリストライクなど、魅力的な企画が進んでいる。

9. AI革命
AIはコイン業界にも影響を与える。

業者はAIを活用して販売効率を高めており、その結果さらに多くの在庫を必要としている。

10. インフレヘッジ需要
アメリカ財政赤字は年間2兆ドル規模に達している。

そのため、金銀系希少コインをインフレヘッジとして保有したい投資家が増えている。

最後に著者は、
「欲しい希少コインがあるなら、早めに買った方が良いかもしれない」
と締めくくっている。