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NGC古代コイン:リベルタス(Libertas - 自由の女神)について

『NGC Ancients: Libertas』
https://www.ngccoin.com/news/article/15390/

『NGC古代コイン:リベルタス(Libertas - 自由の女神)について』

古代ローマでは、「自由」は人格神リベルタス(Libertas)として表現され、その姿は数多くの貨幣に刻まれました。

権力者や政争を戦う政治家たちは、自らの統治が国民に自由をもたらすことを示す象徴としてリベルタスを利用しました。

戦争に敗れれば奴隷となる時代だったため、「自由」は何よりも重要な価値でした。

その思想は古代ローマ滅亡後も受け継がれ、18世紀の啓蒙時代になると自由や人権の象徴として再評価されます。

そして独立したアメリカでは1792年貨幣法によって、王の肖像ではなく「自由の女神(Liberty)」を貨幣に描くことが義務付けられました。

つまり、アメリカのLibertyデザインは、古代ローマのLibertasの流れを直接受け継いでいるのです。

〇ギリシャ版「自由の女神」

ローマのLibertasに相当するギリシャ神話の女神はエレウテリア(Eleutheria)です。

紀元前330年代頃のキュジコス(小アジア)のスターター貨には、この女神が描かれています。

一説では、アレクサンドロス大王がペルシア支配からギリシャ世界を「解放」したことを記念すると考えられています。

〇ローマ貨幣初登場(紀元前126年)
Libertasが初めてローマ貨幣に登場したのは、紀元前126年 カッシウス家の造幣官が発行したデナリウスです。

裏面では四頭立て戦車に乗るLibertasが描かれています。

彼女はピレウス(Pileus)という円錐形の帽子を持っています。

これは解放奴隷が被る帽子であり、「自由」の象徴でした。

〇紀元前76年
エグナティウス・マクスムスが発行したデナリウスでは、Libertasの胸像が描かれ、帽子によって彼女であることが分かります。

〇紀元前55年
カッシウス・ロンギヌスの貨幣では、「LIBERT」という文字で女神を示しています。

彼は後にカエサル暗殺に参加するカッシウス一族の人物でした。

〇ブルータスの貨幣
紀元前54年、後のカエサル暗殺の首謀者マルクス・ユニウス・ブルータスは、Libertasを描いたデナリウスを発行します。

裏面にはローマ最後の王を追放し共和政を樹立した祖先、ルキウス・ユニウス・ブルータスが描かれています。

つまり「暴君を倒し自由を守る」という家系の伝統を表現しています。

〇カエサル暗殺後
紀元前44年3月15日ブルータスとカッシウスはユリウス・カエサルを暗殺します。

共和政を守るためだったと彼らは主張しました。

その後発行された貨幣にもLibertasが描かれ、兵士たちへ「我々は自由のために戦っている」と訴えました。

〇有名な「EID MAR」デナリウス
世界で最も有名なローマ貨幣の一つです。

特徴:
ブルータスの肖像
二本の短剣
中央のPileus(自由帽)
「EID MAR(3月15日)」の文字

短剣はブルータス&カッシウスを表し、自由帽は「ローマに自由を取り戻した」ことを意味しています。

しかしその年、フィリッピの戦いで敗れ、ブルータスもカッシウスも自害しました。

〇帝政ローマでもLibertas
共和政が終わって皇帝時代になっても、Libertasは引き続き貨幣に登場します。

紹介されている皇帝は、
クラウディウス
ガルバ
ウィテリウス
ウェスパシアヌス
ネルウァ
ハドリアヌス
コンモドゥス
カラカラ
マグネンティウス
などです。

実際には独裁色の強い皇帝でも、「私は国民に自由を与える」という政治宣伝としてLibertasを使っていました。

〇Vindicta(解放の杖)
ウィテリウスの貨幣ではLibertasはPileus・Vindicta(解放の杖)を持っています。

この杖は奴隷解放の儀式で使われ、頭に軽く触れることで「自由人」となることを意味しました。

〇Libertas Publica
ウェスパシアヌス、ハドリアヌスらの貨幣ではLIBERTAS PVBLICA(公共の自由)という伝説が使われています。

国家全体の自由を象徴しています。

〇アメリカ独立とのつながり
記事最後はLibertas Americana Medalで締めくくられています。

これは1783年アメリカ独立戦争勝利を記念してフランスで製作されたメダルです。

考案者はベンジャミン・フランクリンです。

表面にはLibertas。

裏面には、
アテナ=フランス
ヘラクレス=アメリカ
が描かれています。

1776年7月4日の独立宣言から250周年となる2026年にふさわしい作品として紹介されています。